バリアフリー宿を探すときに、「車椅子のまま入れるお風呂って、どんな種類があるの?」
と疑問に感じたことはありませんか?
ひとことで「バリアフリー浴室」といっても、実は方式によって使いやすさや介助のしやすさが大きく違います。
この記事では、バリアフリー宿によく導入されている7つの入浴方式を、わかりやすく解説していきます。
1. リフト式
●特徴と使い方
「リフト式」は、浴槽の横に設置された昇降リフトに座って、お湯の中にゆっくりと入っていくタイプです。
リフトに移乗してスイッチを押すと、上下に動きながら安全に浴槽へ移動できます。
●メリット
- 自立歩行が難しい方でも安心して入浴できる
- 介助者の負担が軽減される
- 湯船にしっかり浸かれるので、温泉気分が味わえる
●注意点
- リフトへの移乗が必要(多少の身体移動ができることが前提)
- 機械操作に不安がある場合は、スタッフのサポートが重要
リフト式は比較的多くの宿に導入されており、はじめてのバリアフリー浴室体験にもおすすめです。
2. 固定リフト式
●特徴と使い方
「固定リフト式」は、浴槽の横や手前にリフトが設置されており、移動距離が最小限で済むタイプです。
移乗後の動作が少ないため、より安全性が高いのが特徴です。
●メリット
- リフト本体がしっかり安定していて安心
- 移動が少なく、怖さを感じにくい
- 利用者と介助者の息が合わせやすい
●注意点
- 利用方法がやや独特なので、事前に使い方を確認しておくのが安心
- 一部の宿でのみ導入されている(要問い合わせ)
操作性と安全性のバランスが良く、重度の障害がある方にもおすすめの方式です。
3. 吊り下げ式リフト
●特徴と使い方
「吊り下げ式リフト」は、天井や天井付近のレールから吊るされたリフトに利用者が乗り、浴槽まで移動して入浴する方式です。
病院などの医療施設でも導入されている、より高度な入浴サポート方式です。
●メリット
- 自力での移動が難しい方でも全身を支えて入浴可能
- 介助者は腰や腕の負担が激減
- ベッド→浴室→トイレなど、レール移動が可能なケースもあり
●注意点
- 利用者の体型や体調によっては吊り下げの不安を感じる人も
- 操作に慣れが必要なので、スタッフの介助は必須
リフトの操作は専門的ですが、安全性が非常に高く、介助負担も少ないため、重度障害のある方や高齢者との旅行に最適です。
4. スロープ式
●特徴と使い方
「スロープ式」は、浴槽に向かってゆるやかなスロープ(坂道)を設け、車椅子のまま中へ入る方です。
プールのように徐々に入っていける構造で、チェアーごと湯船に浸かれることがポイントです。
●メリット
- 移乗が不要で車椅子のままで入浴できる
- 介助者の動きが少なく、安全にサポート可能
- 湯に徐々に浸かるので、温度変化にやさしい
●注意点
- 構造上、湯量が少なめの浴槽になることも
- スロープの滑りにくさや角度の工夫が重要
スロープ式は、自立移動が難しい方にとって「もっとも安心な方式」とも言われています。
5. 昇降式貸し切り温泉
●特徴と使い方
「昇降式貸し切り温泉」は、浴槽自体やイスの部分が上下に昇降する仕組みになっていて、入浴時に安全かつスムーズに体を沈めることができます。
貸し切り温泉にこの機能がついていると、プライベート感とバリアフリーが両立!
●メリット
- 貸し切りでゆったり入浴できる
- 自動昇降機能により、滑る心配が少ない
- 家族全員でリラックス可能
●注意点
- 昇降速度がゆっくりなので、時間に余裕を持って予約を
- 温泉によっては予約制(1組30~60分)で事前の確認が必要
温泉地でのバリアフリー旅行なら、ぜひチェックしたい方式です。
6. チェアー浴(チェアーインバス)
●特徴と使い方
「チェアーインバス」とは、専用のバスチェア(浴槽対応車椅子)を使って、そのまま浴槽に浸かる方式です。
施設によっては「チェアー浴」とも呼ばれています。
●メリット
- チェアーのまま湯船へGO!移乗の手間がゼロ
- お湯に浸かりながらも、安定感があって怖くない
- シャワーと湯船の両方に対応できる施設もある
●注意点
- 専用のチェアーが必要(宿にあるか事前確認を)
- 浴槽の深さやサイズに限りがある場合も
動きの制限がある方でも、自然に温泉を楽しめるやさしい方式です。
7. シャワーキャリー(入浴用車椅子)
●特徴と使い方
「シャワーキャリー」は、防水・耐熱素材でできた入浴専用の車椅子です。
これに乗ったまま、シャワーや簡易的な湯船での入浴が可能です。
●メリット
- 車椅子のまま濡れてもOKな素材
- お尻の部分に穴が空いていて、シャワーをしっかり当てられる
- コンパクトなので、狭いスペースでも利用しやすい
●注意点
- 浴槽への入浴ではなく、シャワー利用がメイン
- 長時間の使用には向かない(長湯は不向き)
日帰り入浴施設や、簡単に清潔を保ちたい場合に便利な選択肢です。
まとめ
今回ご紹介した7つの入浴方式
方式名 | 特徴 | おすすめ対象 |
---|---|---|
リフト式 | 移乗後に昇降リフトで浴槽に入る | 自力での移動がやや可能な方 |
固定リフト式 | 浴槽横のリフトで安全に入浴できる | 安定感を重視する方 |
吊り下げ式リフト | 天井からの吊り下げで全身を支える | 重度障害のある方や高齢者 |
スロープ式 | 車椅子のままスロープで湯船に入れる | 移乗が難しい方、家族旅行 |
昇降式貸し切り温泉 | 貸し切り空間で昇降装置を使って安全に入浴 | 温泉旅行を楽しみたい方 |
チェアーインバス | 入浴用チェアで浴槽へそのまま入る | 安定感を求める方、移乗が難しい方 |
シャワーキャリー | 入浴専用車椅子でシャワー浴ができる | 短時間入浴・日帰り旅行におすすめ |
あなたやご家族の身体状況、旅の目的、宿泊先の設備に合わせて、最適な方式を選ぶことで、
もっと快適に・もっと楽しく温泉旅行ができるようになります。
ぜひ次の旅行では、「入浴方式にも注目して宿選び」をしてみてください。